TikTok広告は静止画でも大丈夫?カルーセル対応と最新仕様を解説!

TikTok広告は動画がなくても、静止画だけで運用を始められます。カルーセル形式にも対応しているため、複数の商品ラインナップや実績紹介など、幅広い訴求が可能です。
特に中小企業にとっては、動画制作リソースがなくても導入しやすく、静止画は情報が明快に伝わるため、購買促進やリターゲティングといった局面で効果を発揮できます。
本記事では、最新の入稿仕様やチェックリストに加え、動画との効果的な使い分けまで、TikTok広告で静止画を活用するための実践的なポイントを詳しく解説します。
TikTok広告は静止画に対応している

TikTok広告はこれまで動画が中心でしたが、現在は静止画にも正式対応しています。これにより、自社で動画制作リソースを持たない中小企業や、まずは小規模に始めたい広告主でも取り組みやすくなりました。
静止画広告は、目的に応じて動画と組み合わせながら運用することで、費用対効果を高めやすい手段といえるでしょう。
対応フォーマットと配信面の全体像
TikTokの静止画配信は、アプリ内インフィードの「カルーセル」、カタログ広告の「Single Image」、さらに外部配信(Global App Bundle/Pangleなど)で利用可能です。標準のオークション型インフィードは動画中心であるため、静止画が使えるかどうか、また要件は配信面ごとに確認しておく必要があります。
インフィード広告はユーザーの「おすすめ」フィードに自然に表示され、動画同様にスクロール中の接触が期待できるフォーマットです。カルーセルは2〜35枚を登録でき、実際の表示は最大20枚まで、さらにBGMの設定が必須です。商品の特徴やサービスの流れを段階的に伝えるのに適した形式といえます。
動画ほど強い訴求力は期待できないケースもありますが、ターゲットや目的に応じて設計すれば、静止画でも効果的にリーチを拡大し、必要な情報を的確に伝えることが可能です。
静止画の強みと動画との違いを理解する
静止画広告は、シンプルなキャッチコピーと明快なビジュアルによって、商品やサービスの特徴を短時間で理解してもらえるのが強みです。
また、動画と比べて制作コストが低く、既存のバナー素材やECサイトの商品写真を活用できるため、導入しやすい点も大きなメリットになります。
一方で、TikTokは動画を中心としたプラットフォームであり、動的コンテンツに慣れたユーザーが多いため、認知拡大やエンゲージメント目的では動画に比べて劣るケースも見られます。
静止画は特にクリック誘導やコンバージョン獲得に強みを持ち、ブランディングや話題化を狙う場合は動画と併用することで相乗効果が期待できます。静止画の特性を理解し、目的に応じてフォーマットを使い分けることが成果につながります。
関連記事:TikTok広告の入稿規定を解説|動画・画像サイズ・テキスト文字数まで
配置別の最新仕様を比較

TikTok広告における静止画は、インフィード広告をはじめ複数の配置で利用可能です。なかでもインフィード広告とカルーセル広告が代表的な選択肢で、それぞれに解像度・容量・アスペクト比といった明確な規定があります。
ここでは、最新仕様をもとに整理し、比較しやすい形で解説します。運用前には必ず公式情報を再確認し、TikTok Business Help Centerの最新規定に沿ったクリエイティブを準備することが重要です。
インフィードと外部配信の違い
インフィード広告は、TikTokアプリ内の「おすすめ」フィードに表示され、縦型(9:16)が主流です。スマートフォン画面をフルに使い、ユーザー体験を妨げない自然な形式で配信されます。なお、オークション型インフィード広告は基本的に動画を前提とした仕様が中心です。
一方、外部配信ネットワーク(Global App BundleやPangle)では、ニュースフィード型アプリなどに表示されることがあり、この場合は横型(16:9)や1.91:1(例:1200×628)といった比率が推奨されるケースがあります。ただし、配信先によって要件は異なるため、必ず最新の公式仕様を確認する必要があります。
つまり、同じ静止画広告でも配信面によって最適なアスペクト比は異なります。入稿前に「どの面で配信するのか」を明確にし、それに合わせたサイズの素材を準備することが重要です。
参照:Global App Bundle 仕様|TikTok公式:In-Feed Ads 仕様
比率・最小解像度・容量・拡張子
静止画の入稿要件は以下の通りです(2025年9月時点、TikTok公式仕様)。以下は代表例です。
入稿要件 | 詳細 |
比率 | 9:16(縦型)1:1(正方形)16:9(横型) |
最小解像度 | 720×1280(縦)640×640(正方形)1280×720(横) |
容量 | 最大100MB(推奨は数MB以内) |
拡張子 | JPGまたはPNG |
この条件を満たさない場合、入稿エラーや審査落ちの原因となります。特に比率が崩れると余白や黒帯が表示され、視認性や訴求力が低下します。画面全体を効果的に活用できるサイズ設計を意識してください。
テキスト欄の文字数とNG記号
画像系の配信面(例:Global App Bundle/Pangle等)では、説明文は半角1〜100文字(全角1〜50文字)で、絵文字・波括弧「{ }」・シャープ記号「#」は使用不可です。
これらを含むと審査で非承認となる可能性があるため注意が必要です。以下に主要な配信面ごとの要件を整理しました。
配信面 | 比率 | 最小解像度 | 容量上限 | 拡張子 | テキスト文字数 | 禁止文字 |
---|---|---|---|---|---|---|
インフィード | 9:16推奨 | 720×1280以上 | 100MB以下 | JPG / PNG | 半角1〜100文字(全角約50文字) | 絵文字・{ }・# |
外部配信(Global App Bundle等) | 16:9/1:1対応 | 1280×720以上/640×640以上 | 100MB以下 | JPG / PNG | 半角1〜100文字(全角約50文字) | 絵文字・{ }・# |
このように、文字数や使用記号の制限は細かいように見えますが、広告の承認可否を左右する重要なポイントです。
※2025年9月時点の仕様をもとに作成しています。最新情報は [Global App Bundle 画像仕様(TikTok公式)] をご確認ください。
審査を突破する入稿前チェックリスト

TikTok広告の静止画も動画と同様に、厳格な審査が行われます。入稿時に規定を守らなければ、広告が非承認となったり、表示が崩れて見栄えが悪くなる可能性があり、配信の開始が遅れるリスクがあります。
そのため入稿前には必ず比率・解像度・容量・文字数・記号・安全域を確認しましょう。基本仕様を遵守するだけでなく、ユーザーにとって見やすく可読性の高いデザインに仕上げることが、審査通過と成果の両立につながります。ここでは、見落としやすい注意点を紹介します。
比率・解像度・容量・余白の確認
まず押さえておくべきは、画像そのものの基本条件です。TikTokが公式に提示している仕様は以下の通りです。
基本条件 | 詳細 |
比率 | 9:16(縦)1:1(正方形)16:9(横) |
最小解像度 | 720×1280(縦)640×640(正方形)1280×720(横) |
容量 | 100MB以内 |
ファイル形式 | JPGまたはPNG |
これらを満たさないと、入稿時にエラーが発生したり、画質が劣化してしまう可能性があります。実務的には最小解像度よりも高解像度で制作しておく方が安心です。
さらに、レイアウトでは安全域の確保も欠かせません。上下や左右ギリギリまで要素を配置すると、端末ごとの表示で文字や画像が欠けるリスクがあるため、余白を設けてデザインすることが推奨されます。
文字数・記号のルールと注意点
説明文は、半角1〜100文字(全角50文字まで)と文字数に制限があります。さらに絵文字・波括弧「{ }」・シャープ記号「#」は使用禁止で、これらを含むと審査で非承認となるリスクが高まります。
特にSNS運用に慣れている担当者は装飾目的で絵文字を入れがちですが、TikTok広告では必ず避けてください。
また、文字数を超過した場合は審査通過後でも表示時に自動で切り捨てられ、意図した訴求が正しく伝わらなくなる恐れがあります。事前に文字数をカウントし、制限の範囲内で収めることが重要です。
ロゴ・CTAの安全域チェック
ロゴやCTAボタンの配置にも注意が必要です。TikTokのUIでは、画面下部にCTAボタンや説明文が重なって表示される仕様があるため、下端にロゴや重要メッセージを置くと隠れてしまいます。
これを避けるには、上下左右に十分な安全域を確保し、主要要素は中央寄りに配置することが基本です。
カルーセル広告も同様に、1枚ごとに安全域を守らなければ表示時に見切れる可能性があります。入稿前にチェックすることで、ミスを未然に防げます。
すぐに試せる!初期テスト設計の型

静止画広告は動画に比べて制作コストが低いため、初期段階から複数パターンを準備しテストを行うことが効果的です。ただし、検証設計を誤ると成果を正しく判断できません。そこで事前に「クリエイティブの種類」「訴求ポイント」「レイアウトパターン」といった要素を組み合わせ、一度のテストでは変数を絞る設計が推奨されます。これにより、短期間で成果の良いパターンを見極め、広告運用を効率的に改善できます。
3種×3訴求×2レイアウトの設計
初期テストでは、以下のような組み合わせを意識すると効果的です。
クリエイティブ種類 | 写真・イラスト・シンプルテキスト |
訴求ポイント | 価格訴求・ベネフィット訴求・限定オファー |
レイアウト | 文字主体・ビジュアル主体 |
この3×3×2で最大18パターンを設計でき、幅広い切り口から最適な方向性を見つけやすくなります。
全てを同時に回すのが難しい場合でも、最低限「訴求の切り口」と「レイアウトの違い」を変えた複数案を用意することが重要です。段階的にテストを進めることで、限られた予算でも精度の高い検証が可能になります。
掲載順・ターゲティングの固定化
テスト結果を正しく比較するためには、広告の配信条件を統一することが不可欠です。掲載順やターゲティング条件が異なると、成果の差がクリエイティブ以外の要因に左右されてしまいます。
具体的には、同じキャンペーン内でA/Bテストを行い、日予算や入札戦略も揃えて設定してください。こうすることで、純粋に「静止画の違いによる効果」を把握しやすくなり、検証の精度が高まります。
検証期間と必要インプレ閾値の目安
静止画広告の検証を行う際は、最低でも1〜2週間の検証期間を確保することが重要です。短期間では配信結果にばらつきが生じやすく、正確な判断が難しくなります。
例えば、インプレッション数の目安は、1パターンあたり数千〜1万回以上です。これを下回ると偶然の要素に影響されやすく、改善方針を誤るリスクがあります。
十分なデータが蓄積された段階で、CTRやCVRを基準に勝ちパターンを選定し、次の改善へとつなげることが成果を安定させる鍵です。
カルーセル活用の設計テンプレ

カルーセル広告は、複数枚の静止画を連続して表示できるフォーマットで、ストーリー性を活かした訴求に適しています。登録できる枚数は2枚から最大35枚までで、商品紹介やサービスの流れを段階的に伝えるのに有効です。ただし、単に枚数を増やすだけでは成果に直結せず、一貫した意図を持った構成が不可欠です。
問題→解決→証拠→CTAの並び順
効果的なカルーセル広告は、ストーリーテリング型の構成を意識するのがポイントです。1枚目でユーザーの悩みを提示し、2枚目以降で「解決策 → 証拠 → 行動喚起」という流れを展開します。
例えば、最初に「予約が面倒…」と問題提起し、次のスライドで「3ステップで簡単予約」と解決策を提示。その後に「利用者数〇万人突破」といった証拠を示すことで説得力を高められます。
最後に「今すぐ体験」といったCTAを配置すれば、ユーザーの理解から行動への流れがスムーズになり、意思決定を自然に後押しできます。
1枚1メッセージ原則と見出し設計
カルーセル広告では、1枚に複数のメッセージを盛り込むと視認性が下がり、ユーザーに内容が伝わりにくくなります。キャッチコピーは短く端的にまとめ、1行で「誰に何を提供するのか」を示すのが理想です。
例えば「初回限定50%OFF」や「3分で登録完了」のように、数字やベネフィットを組み込んだシンプルなフレーズが効果的です。
見出しは、画像内と広告テキスト欄の両方に配置すると相乗効果が生まれ、訴求ポイントを強く印象づけられます。
並び順ABの評価指標(1枚目CTR等)
カルーセル広告の改善においては、1枚目のクリック率(CTR)が最重要指標です。最初の画像で関心を引けなければ、その後のスライドは閲覧されにくくなります。
ABテストでは、1枚目の切り口を変えて比較し、CTRや最後までのスライド到達率を基準に効果を判断しましょう。
例えば「価格訴求を起点にした構成」と「ベネフィット訴求を起点にした構成」を試し、どちらが成果を高められるかを検証します。また、途中での離脱が目立つ場合は、画像の順序を組み替えてストーリー性を最適化することも有効です。
デザインとコピーの基本ルール

静止画広告の成果は、単に仕様を守るだけではなく、「見やすさ」と「伝わりやすさ」をどこまで工夫できるかによって大きく変わります。特にTikTokは縦型フルスクリーンでの表示が前提となるため、レイアウトや文字の配置に注意することが不可欠です。ここでは、広告運用の現場で押さえておきたい3つの基本ルールを整理して解説します。
視線誘導と余白(縦9:16の最適化)
TikTokは縦型9:16のフルスクリーン表示が基本です。一般的に視線は上から下へ、中央から外側へ流れる傾向があるため、訴求コピーやロゴは中央〜上部に配置すると目に入りやすくなります。
一方で、画面下部にはCTAボタンやUIが重なるため、要素を避けて余白を確保することが重要です。画面全体を要素で埋めるのではなく、意図的に余白を残すことで視線の流れをコントロールでき、情報が整理されて伝わりやすくなります。
短い主語+強い動詞+数字の使い方
コピーライティングでは「誰がどうなるか」を端的に示すことが鍵です。主語を明確にし、強い動詞を組み合わせることで、一瞬で理解できるコピーになります。
例えば「学生も登録できる」「30秒で診断完了」といった表現です。さらに「利用者数10万人突破」「初月50%割引」のように数字を加えると直感的に認識されやすく、訴求力が高まります。
TikTokはテンポの速いプラットフォームであるため、コピーは「一目で理解できる形」に仕上げることが成果につながります。
色・人物・ロゴの置き方(被り回避)
デザイン面では、文字の可読性を最優先に考えましょう。背景と文字色のコントラストを強めることで読みやすさが向上します。
人物写真を使用する場合は、視線の向きを工夫して商品やコピーに誘導すると効果的です。ロゴは上下左右に十分な安全域を確保し、UIと被らない位置に配置してください。
過度な装飾や多色使いは逆効果になりやすいため、ブランドカラーを基調にしたシンプルかつ統一感のあるデザインを意識することが重要です。
動画との使い分けと再利用の方法

TikTok広告で成果を高めるには、動画と静止画を適切に使い分けることが重要です。動画は短時間で強い印象を残せるため、ブランド認知や新商品の告知に有効です。
一方で静止画やカルーセルは、シンプルに情報を伝えやすく、キャンペーン告知や申込促進といった購買直前の局面で力を発揮します。
ここでは、動画との使い分けの方法や基準を紹介します。
認知は動画、刈り取りは静止画・カルーセル
動画は短時間で強い印象を与えられるため、ブランド認知や新商品の告知に適しています。これに対して静止画はシンプルに情報を伝えられるため、割引・キャンペーン・申込促進といったコンバージョン獲得の局面に向いています。
たとえば「先着100名限定」「初回50%OFF」といった明確なオファーは静止画の方が伝わりやすく、クリック率が上がる傾向があります。したがって「動画で認知→静止画・カルーセルで刈り取り」という流れを設計すると効果的です。
静止画から広がる広告資産
静止画は素材としての汎用性が高く、再利用しやすい点もメリットです。まず静止画で訴求内容を検証し、成果が出たものをモーション化することで動画制作のリスクを抑えられます。
さらに効果が高い訴求はUGC(ユーザー生成コンテンツ)としてインフルエンサーや顧客に発信してもらえば、自然な拡散につなげられます。
「静止画で検証→モーション化で強化→UGCで拡散」という流れを組むことで、限られたリソースでも効率的に広告資産を拡大できます。
差し替え基準(CTR/CVRの目安)
広告は成果が落ち始めたタイミングで速やかに差し替える必要があります。静止画の場合、業種によって異なりますが、CTR(クリック率)が1%を下回る、あるいはCVR(コンバージョン率)が平均より大きく低下するようであれば、新しいクリエイティブを投入するサインと考えられます。
配信から1〜2週間でCTRが横ばいになった場合も、ユーザーが見慣れてしまった可能性があるため差し替えを検討しましょう。定量的な基準を設定しておくことで、感覚ではなくデータに基づいた改善が進めやすくなります。
まとめ
TikTok広告は動画と静止画を組み合わせて活用することで、少ないリソースでも効果を最大化できます。静止画はシンプルな情報伝達やクリック誘導に強く、カルーセルでは複数の訴求を段階的に伝えることも可能です。
入稿時には比率・解像度・文字数などの基本仕様を守り、テストを繰り返して勝ちパターンを見極めましょう。動画は認知獲得に、静止画は刈り取りにと役割を整理し、静止画をモーション化やUGCにつなげる流れを組むことで、持続的な成果創出につながります。